企業のITインフラを安定して運用するうえで、バックアップは欠かせません。管理画面を開くと、今日も「成功」と表示されている。エラーも出ていないので、そのまま確認を終える。日々の運用では、そんな流れになっていないでしょうか。
ただ、この表示で分かるのは、設定されたバックアップ処理が正常に終わったということです。必要なデータが保存されているか、障害時に取り出せるか、取り出したデータで仕事を再開できるかまでは、別に確かめる必要があります。
その確認の出発点になるのが、「最後にバックアップからデータを戻したのは、いつか」という問いです。
「成功」と表示されていても、保存対象が違うことがある
私たちが関わった、10年以上稼働していた生産管理システムをクラウドへ移行する案件でのことです。
移行後の動作確認は問題なく終わり、お客さまも私たちも作業は完了したと判断していました。ところが後日、バックアップ設定が移行前のまま残っていたことが分かりました。
管理画面には毎回「成功」と表示されていました。しかし、保存されていたのは移行前のデータだけ。移行後に使っているデータは、バックアップの対象に入っていなかったのです。
原因は、移行時の作業項目にバックアップ設定の再確認が含まれていなかったことでした。システムが動くかどうかは確認していても、そのデータがどこに保存され、何を対象にバックアップしているかまでは突き合わせていませんでした。
それ以来、クラウド移行の完了時には、現在使っているデータの保存先と、バックアップの対象を照合しています。成功表示を見る前に、まず「何を保存しているのか」を確認する。この一手間が欠かせません。
データを戻せることと、仕事を再開できること
必要なデータが保存されていても、それだけで復旧の準備が整ったとは言えません。
たとえば、ファイルを取り出せても、業務システムで読み込めなければ仕事は再開できません。復元に時間がかかり、出荷や顧客対応に間に合わないことも考えられます。
そこで、復旧方法を決める際には、システムの構成とあわせて次の点を整理します。
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システムが止まると、どの業務ができなくなるか
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一時的に手作業で対応できるか
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何時間止まると、出荷や顧客対応に影響が出るか
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どの時点のデータまで戻れば、業務を再開できるか
この整理があると、優先して戻すべきシステムや、必要な復旧時間が見えてきます。
復旧計画で決めておきたいのは、すべてを一斉に元どおりにする方法だけではありません。限られた時間と人員で、どの業務から再開させるか。その順番も、障害が起きる前に決めておく必要があります。

最初の復旧テストは、ファイル一つから
復旧テストと聞くと、本番環境を丸ごと再現する大がかりな作業を想像するかもしれません。最初からそこまで用意できなくても、確認を始めることはできます。
まずは業務で使っているファイルを一つ選び、バックアップから別の場所へ復元してみます。本番のファイルを上書きしないよう、復元先はあらかじめ分けておきます。
確認するのは、「復元が完了した」という表示だけではありません。ファイルを開けるか、必要な内容が含まれているか、いつの時点のデータなのか。作業にかかった時間も記録します。
実際に操作すると、手順書を読むだけでは気づかなかった問題が見つかります。管理画面が手順書と違う、必要な権限がない、復元先の空き容量が足りない。担当者が不在で、作業を始められないこともあるでしょう。
ファイル一つの復元でシステム全体を確認できるわけではありませんが、復旧作業のどこに支障があるかを知る第一歩にはなります。
テストで止まった場所を、次の改善につなげる
復旧テストが途中で止まっても、その結果には意味があります。実際の障害が起きる前に、直すべき箇所が分かったからです。
記録には、実施日や復元対象に加えて、「どの操作で止まったか」「なぜ先に進めなかったか」を残します。
手順書が古ければ更新する。権限が足りなければ、必要な担当者が作業できるようにする。認証情報を一人しか扱えない状態なら、安全な管理方法と緊急時のアクセス手順を整える。改善後は、止まった箇所をもう一度試します。
新しい機器やサービスを検討する前に、今の環境で見直せることもあります。まずは最後に復元した記録を探し、記録がなければ、小さな復旧テストから始めてみてください。
Advangeと、バックアップからの復旧を確認する
AdvangeのITインフラサービスでは、バックアップの設定に加え、現在使っているデータが保存対象に含まれているか、復元後に業務を再開できるか、担当者が不在でも初動に着手できるかを確認します。
「バックアップは毎日動いているが、復元したことはない」。そのような場合は、今の設定と手順を見直すところからご相談ください。Advangeでは、お客さまのITインフラと業務への影響を踏まえ、必要なデータを確実に戻し、仕事を再開するために何を確認すべきか、一緒に整理します。



